― 知床産エゾシカロースの乾燥熟成とロティの仕込み ―
北海道・斜里町。オホーツクの風が吹き抜けるこの地で、豊かな自然の中のびのびと育てられた「知床エゾシカファーム」の若い雌鹿。そのロース肉を、当店ではさらに時間と手間をかけて、香り高い一皿へと仕立てています。
まず仕入れたロース肉は、余分な筋や血の塊を丁寧に取り除き、熟成に適した状態へと下処理を施します。使用するのはクセがなく、しっとりとした肉質が特徴の若い雌。フレッシュな段階での香りや繊維感を感じながら、熟成のポテンシャルを見極めます。

下処理を終えたロースは清潔なガーゼで巻き、通気性の良い状態に整えた上で、低温熟成庫へ。庫内は0〜2℃、湿度70〜80%に管理し、空気がしっかり循環するよう配置します。表面にはやがて白カビが現れ、じっくりと時間をかけて熟成が進行。水分が適度に抜けていくことで、旨みと香りが凝縮されていきます。


熟成が進んだロースからは、ナッツやチーズを思わせる芳醇な香りが立ち上がります。白カビが育った外皮は取り除き、中心のしっとりとした赤身だけを残して、いよいよ仕上げへ。
表面を香ばしく焼き上げたのち、じっくりと火を入れて芯温を調整。しっとりと仕上げた肉は、まるで赤ワインのような奥行きと余韻を備えています。合わせるのは、鹿の出汁と赤ワインをベースにしたクラシックな「グラン・ヴヌール」ソース。カシスやジュニパー、黒胡椒の香りが、熟成鹿肉の個性をやさしく引き立てます。
■ 提供メニュー
エゾシカ熟成ロースのロティ グラン・ヴヌール ソース

自然と時間が育てた旨みを、丁寧な火入れと伝統的なソースで。
知床の恵みを、ワインとともにぜひご堪能ください。
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