仕込み

「煙の中に、時間を閉じ込めて」~自家製ロースハム、仕込みの風景~

北海道の大地が育んだ、銘柄豚のロース。
その白く美しい脂と、しっとりとした赤身に
そっと手を添え、今日も静かに仕込みが始まります。

余分なものを丁寧にそぎ落とし、
ハーブの香りをまとわせながら、
ロースは一週間、ゆっくりと眠りにつきます。
まるで長旅を前に、深い安らぎに身をゆだねる旅人のように。

一週間後。

冷たい水でやさしく洗い流し、塩を抜いたら、
ロースは成形され、網に包まれて姿を整えます。

まるで貴婦人のドレスをまとうような、優美な装い。
そして、いよいよスモーカーへ。

まずは、じっくりと乾燥させることから。
煙は、ただの熱ではありません。
それは「時間」であり、「記憶」であり、
「静かな炎の物語」。

桜のチップが静かに燻り、
やがて立ちのぼる香りは、
どこか懐かしく、心をほどくようなやさしさを残していきます。

吊るされたロースが、
ゆっくりと、じっくりと、色づいていくその姿は、
まるで内に秘めた旨みと想いを
静かに熟成させる人の生き様のようでもあります。

やがて、深い琥珀色を纏ったハムたちが、
ひとつ、またひとつと、姿を現します。
その表情は、凛として艶やかで、どこか誇らしげ。

こうして、
カンパネラの「自家製ロースハム」は生まれます。

決して派手さはないけれど、
ひとくち頬ばれば、心にじんわりと広がる幸福。
そんな“静かな贅沢”を、
今日も、明日も、まごころ込めてお届けしてまいります。

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